スカウトメールって難しいね

2024-12-17 08:01

この記事は 2024年 ジンジニア アドベントカレンダー の記事です。

最近、新規事業チームのエンジニアとしてバリバリコードを書く機会が多く、ジンジニアらしい採用活動にはなかなか携わっていません。そんな中でも、リファラル採用で関わることは少しだけあります。

今回は、最近遭遇した出来事について書いてみます。なお、ここでの話はあくまで個人的な感想であり、所属している会社とは一切関係ありません。

今月、急に大量のスカウトメールが…

ある媒体で、突然、普段の5倍ほどのスカウトメールが一斉に届くようになりました。しかも多くが以下のような特徴を持っていました。

  • 同じような構成の長文テンプレート
  • 代表やCTO名義で送られている(実際に本人が書いているかは不明)

個人的に「他人名義のスカウトメール」はあまり好みません。もちろん、代表やCTO本人が送っているケースもあるかもしれませんが、同じタイミングで複数の企業から画一的な文面が届く様子を見ると、媒体側のカスタマーサクセスが“代行で一括送信している”可能性も高いと感じました。

特に「知っている人」から届いたのは、かなり違和感がありました。あまりにも代行送信が丸見えだったので、もう少しやり方を工夫したほうが良いのではと思った次第です。

スカウトメールは「質」よりも「量」なのか?

エンジニア向けの転職媒体には、大きく分けて以下の2タイプの登録者が混在しています。

  • 顕在層:現在進行形で転職を考えている人
  • 潜在層:「いい話があれば検討するかも」や「とりあえず登録しっぱなし」な人

潜在層にテンプレートメールを送っても、ほとんど心は動きません。しかし、顕在層にとっては「話だけ聞いてみようかな」と思えるメールになり得ます。もし自分が転職活動中なら、テンプレメールであってもまずは一度話を聞いてみると思います。

つまり、顕在層を早期に大量に取り込むには、スカウトメールの“内容”よりも“量”が重視されがち。内部リソースを割くより、代行会社やRPO(採用業務を請け負う企業)に依頼すれば、手間のかかる大量メール送信の作業を一括でやってくれるメリットがあるのも事実です。

また、媒体側としても、もし契約形態が「採用成立時の年収に対するN%」といった成功報酬型なら、スカウトメールを「数撃つ」ほど成果につながる可能性が上がるので、採用企業・媒体の両面で“ばらまきたくなる”インセンティブが働いているのだろうと思われます。

採用施策のバランス

スカウトメールは短期的に成果を得やすい手法です。行動量は必要ですが、ファネル管理(何人に声をかけ、何人が選考に進み、何人が内諾したか)による数値ベースの改善が回しやすいメリットもあります。

一方、ばらまき型のスカウトメールは、中長期でアプローチすべき潜在層にも雑多に送られるため、候補者との関係性を悪化させかねないデメリットがあります。

たとえば、中長期的な視点では、1人の候補者と長期間かけて関係を築き、その候補者が転職意欲を高めたタイミングでスムーズに選考へ進んでもらう、という施策があります。しかし、こうした手法は手間も時間もかかり、採用計画が立てづらいという難点があります。また、リファラルベースだと人脈(タレントプール)に限界があるのも事実です。

理想は、短期施策と中長期施策のバランスをうまく取りながら採用チャネルを運用すること。ところが、短期施策に偏りすぎると長期施策に戻りづらくなる傾向があるので、一度大量スカウトに依存してしまうと、方針転換にはトップダウンの強い動きが必要になります。これはなかなか大変ではないでしょうか。

さいごに

採用側としてスカウトメールを打っていた経験もあり、媒体の運営側に携わっていたこともあるので、その大変さはよく分かります。一方で「受け取る候補者の視点」をもう少し考えて、より丁寧なアプローチをしたほうがいいのではないか、と感じています。

実際、リファラルに頼れず、どうしても人が足りない切迫した状況になると、エージェントさんに依頼するか媒体でスカウトを大量送信したりするしか選択肢が残りません。そうなる前に、中長期的なアトラクト施策に注力し、候補者との関係性をじっくり築いておくことが大事だと思います。